
こんにちは。長野県松本市島内「JR島内駅」より徒歩5分にある歯医者「おおた歯科・矯正歯科医院」です。
口腔習癖を治すためにMFTが良いと聞いたことがあるものの「やり方がよくわからない」「実際にはどんなトレーニングをするのか」と疑問を持つ方は多いでしょう。
この記事では、MFTの具体的なトレーニング方法から、実施する際の注意点、さらに期待できるメリットまで詳しく解説します。お子さまの口腔習癖に悩んでいる方は、正しい知識を身につけ、効果的にトレーニングを行えるよう、この記事を参考にしてください。
MFTとは

MFT(口腔筋機能療法)とはMyofunctional Therapyの略称で、歯並びに影響を及ぼす根本の原因である、お口周りの筋肉の機能不全を改善することを目的とした治療法です。私たちの歯は、舌の圧力と唇や頬の圧力のバランスによってその位置が保たれています。
しかし、不適切な癖があると、口周りの筋肉のバランスが崩れて、歯並びの乱れや不正咬合を引き起こす可能性があります。
例えば、舌を前に突き出す癖(舌突出癖)があると、前歯が押し出されることで出っ歯になったり、上下の歯の間に隙間ができて開咬になったりすることがあるのです。
また、口呼吸が習慣になっていると唇の力が弱まり、歯列不正の原因となることがあります。そのほかにも、指しゃぶりや唇を噛むといった反復的な癖、食事の際にいつも片側だけで噛む習慣などもMFTが必要とされる代表的な口腔習癖です。
MFTでは、これらの不適切な癖を改善して正しい機能を得るためにトレーニングを行います。具体的には、舌の正しい位置の習得、唇をしっかり閉じておく力の強化、正しい嚥下方法の習得など、多岐にわたるトレーニングがあります。
適応年齢とトレーニング期間
MFTは特に小児期に行うことで、成長期の歯並びの不正予防や改善に大きな効果が期待できますが、成人の方に適応されるケースも少なくありません。また、矯正治療と併用されることも多く、治療後の後戻りを防ぐうえでも重要な役割を果たします。
トレーニング期間は個人の状態によって異なりますが、効果を実感するまでに数ヶ月から1年程度かかることが多く、継続することが非常に重要です。毎日少しずつでも良いので、日常生活のなかに無理なく取り入れ、長期的な視点で取り組んでいきましょう。
MFTで行う具体的なトレーニングのやり方

MFTで行うトレーニングは複数ありますが、ここではご自宅でも実践できる基本的なトレーニングをいくつかご紹介します。
舌の正しい位置を覚えるトレーニング
舌の先が上あごのスポット(前歯のすぐうしろにあるくぼみ)に軽く触れている状態が理想的な状態です。このスポットポジションを意識することが、正しい舌の位置を覚える第一歩です。
鏡の前で口を軽く開け、舌の先をスポットに当てた状態でしばらくキープする練習を繰り返します。最初は数秒から始め、徐々に時間を延ばしていくことで、自然なポジションが身につきます。
また、舌を上あごに吸い付ける感覚を養うために、舌全体を上あごに強く吸い付け、ポンという音が鳴るように舌を離す練習も有効です。舌が上あごから離れるときに、ポンという音がしっかり鳴ることを確認しましょう。
これらのトレーニングを通じて舌が上あごに自然に吸い付いている状態(つまり舌の正しい安静位)が習得でき、これにより鼻呼吸が促進されて歯並びに良い影響を与えることが期待できます。
唇を閉じる力を鍛えるトレーニング
唇の力が弱いと、口が開きやすくなり、口呼吸の原因となります。唇を意識的に閉じる練習をすることで、口周りの筋肉を強化します。
例えば、糸を通した小さめのボタン(または専用の器具)を口の中に入れ、唇の外側から糸を引っ張り、ボタンが口から出ないように唇の力だけで抵抗するトレーニングです。また、割りばしや紙を唇で挟んだまま、数十秒キープするトレーニングもあります。
頬の筋肉を鍛えるトレーニング
頬の筋肉は、噛む機能や歯列の安定に影響を与えます。適切に機能させることで、より良い口腔環境を維持できます。
頬の筋肉を鍛えるために、ストローを使って水を吸ったり、空気を口に含んだりして左右に動かすブクブクうがいのような運動もよく行われます。また、風船を膨らませる、口笛を吹くといった遊び感覚のトレーニングもバランスを整えるのに役立ちます。
正しい飲み込み方を習得するトレーニング
不適切な嚥下方法は、歯並びの不正や顎関節への負担につながることがあります。舌が上あごに吸い付いた状態で、波打つように食べ物や唾液を喉の奥に送り込むのが理想的な嚥下です。
少量の水や粘度のあるゼリー・ヨーグルトを使って、舌を上あごに吸い付けたまま飲み込む練習をします。このとき、舌の先端が下の前歯に触れないように注意し、舌を上あごに吸い付けたまま飲み込めているかを確認します。
何も口に含まず舌を上あごに吸い付けた状態で、意識的に唾液を飲み込んでも練習できます。
MFTトレーニングを行うときの注意点

MFTトレーニングは、基本的に安全でご自宅でも取り組みやすいものですが、いくつか注意点があります。特に、小さなお子さまが実践する場合、筋肉の使い方を誤ることでかえって口腔機能に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、嚥下の練習では誤嚥のリスクも考慮する必要があります。無理のない範囲で行い、できるだけ歯科医師や歯科衛生士など専門家の指導を受けながら実践しましょう。
さらに、これらのトレーニングは継続することが最も重要です。最初は難しく感じるかもしれませんが、繰り返し行うことで少しずつ筋肉が鍛えられ、正しい動きを習得できるようになります。
例えば、1日2〜3回、1回あたり5分程度などご自身にあった目安を設定し、日々の生活のなかに無理なく取り入れてみてください。毎日の小さな積み重ねが、口腔機能の改善につながります。焦らず、少しずつ続けていきましょう。
MFTトレーニングを行うメリット

MFT トレーニングを行うメリットは、以下のとおりです。
歯並び・噛み合わせが安定する
MFTを行い、口周りの筋機能を整えることで、歯並びや噛み合わせの安定につながる点は最大のメリットと言えるでしょう。
特に、小児期からMFTに取り組むことで大きなメリットが得られます。お子さまは顎や顔の骨格が成長途中にあるため、早い段階で口腔習癖を改善することで、歯並びが乱れるのを予防したり、自然な成長を促したりする効果がより期待できます。
もちろん、成人の方にもMFTは効果的です。口周りの癖を改善することで、歯並びの安定、顎関節の負担軽減、呼吸や嚥下機能の改善など様々なメリットが得られます。
矯正治療の効果を高めることができる
MFTは矯正治療と並行して行うことで治療効果を最大限に高めることが可能になります。MFTで歯列が乱れる原因を改善し、正しい舌の位置を覚え、唇や頬の筋肉を強化することで、よりスムーズに矯正治療を進めることができます。
さらに、矯正治療後の後戻りを防ぐうえでもMFTは重要な役割を果たします。正しい口腔周囲筋の機能が定着することで、歯にかかる不均衡な圧力がなくなり、歯並びが安定します。
リテーナー(保定装置)の使用とMFTを組み合わせることで、治療で整えた美しい歯並びを長く維持することが可能になります。
全身の健康によい影響を与える
正しい嚥下ができるようになると、食事がスムーズになり、全身の健康にも好影響を及ぼします。口呼吸が改善されれば、風邪をひきにくくなったり、睡眠の質が高まったりすることで、日常生活の質が大きく向上する可能性もあります。
まとめ

MFTとは、口まわりの筋肉を正しく使えるようにするためのトレーニングであり、歯並びや噛み合わせ、さらには全身の健康にまで関わる重要なアプローチです。
正しい方法で継続的に行えば、口腔習癖の改善だけでなく、矯正治療の効果を高めたり、後戻りを防いだりと、多くのメリットが得られます。
MFTに少しでも興味がある方は、まずは歯科医院で相談してみてください。専門家のサポートを受けながら、自分に合ったトレーニングを無理なく取り入れていきましょう。
小児矯正を検討されている方は、長野県松本市島内「JR島内駅」より徒歩5分にある歯医者「おおた歯科・矯正歯科医院」にお気軽にご相談ください。
当院は、痛みの少ない丁寧な治療を意識して診療にあたっています。一般歯科だけでなく、矯正治療や小児歯科、予防歯科にも力を入れています。