こんにちは。長野県松本市島内「JR島内駅」より徒歩5分にある歯医者「おおた歯科・矯正歯科医院」です。
歯列矯正は歯並びだけでなく、顔つきや表情にも変化をもたらすことがあります。特に急速拡大装置(きゅうそくかくだいそうち)と呼ばれる装置を使った治療では、上顎の骨を左右に広げるため「顔が変わるのでは?」と心配する方もいます。
今回は、急速拡大装置を使うと顔に変化があるのか解説します。急速拡大装置による治療のメリットやデメリットについても解説しますので、小児矯正を検討されている保護者の方は、ぜひ参考にしてください。
急速拡大装置とは
急速拡大装置とは、主に上顎の骨を左右に広げることを目的とした矯正用の装置です。
上顎の骨は左右で分かれており、中央にある正中口蓋縫合と呼ばれる部分でつながれています。この部分は、成長期にはまだ柔らかく開きやすいため、急速拡大装置を使うことで、短い期間で拡大することが可能です。
装置は、上顎の奥歯に固定され、中央にあるネジを少しずつ回すことで左右に圧力をかけ、骨の幅を拡大します。
急速拡大装置による治療で顔に変化がある?
急速拡大装置を使うことで顔立ちにどのような影響があるのか、不安に感じる方も多いでしょう。
急速拡大装置によって顎の幅が広がると、それに伴って顔貌に一定の変化が見られることがあります。これらの変化には、治療直後に起こる一時的な変化と治療後に現れる恒常的な変化の2つがあります。
治療直後に起こることがある変化
短期間で顎を広げるという装置の特性上、治療直後にはいくつかの変化が一時的に現れることがあります。
もっともよく見られるのは、前歯のすき間(正中離開)です。上顎の中央が左右に開くことで、前歯の間に隙間が生じることがあります。この状態は一時的なもので、治療が進むにつれて自然に閉じていくことがほとんどです。
また、上唇や鼻の下に若干の腫れや突っ張り感を覚える人もいます。顔全体の印象が、やや平たくなったと感じることもありますが、これも初期段階に見られる一過性の変化です。
さらに、咀嚼時や発音に一時的な違和感を覚えることがありますが、これも時間とともに改善していきます。
治療後に起こることがある変化
治療が進み、上顎の拡大が完了したあとに見られる顔貌の変化には、恒常的なものもあります。最も顕著なのは、顔の左右対称性が改善される点です。上顎の幅が適切に広がることで、顔全体のバランスが整い、左右差が目立ちにくくなります。
また、上顎の発育が促されることで、鼻腔のスペースが広がり、鼻呼吸がしやすくなることもあります。これにより、口元が引き締まり、口呼吸からくるぽかん口や口元の突出感が改善されることもあります。
さらに、頬の位置がやや高くなることで、フェイスラインが整うケースもあります。
急速拡大装置による治療のメリット
ここからは、急速拡大装置を用いた治療の利点について詳しく見ていきましょう。
顎の成長を促すことができる
成長期に急速拡大装置を使用することで、顎の発育を適切な方向へ導くことが可能となります。顎の幅が広がると、歯が並ぶスペースを確保できるだけでなく、口腔内全体のバランスが整いやすくなります。
特に、顎の成長が遅れているお子様には、有効な矯正手段として推奨されることが多いです。
抜歯を回避できる可能性が高い
矯正治療において、歯並びを整えるために健康な永久歯を抜歯しなければならないケースは少なくありません。
しかし、急速拡大装置を使って治療することで、抜歯を避けられる可能性が高まります。
これは、上顎の骨そのものを左右に広げることで、歯がきれいに並ぶスペースを確保できるためです。特に、歯の重なり(叢生)が強い場合でも、顎の幅を拡大することによって自然な歯列への誘導が可能になります。
短い期間で効果を得られるケースが多い
急速拡大装置を使った治療は、短期間で目に見える効果を得やすいのが特徴です。
通常、数週間から数ヶ月の間に上顎の拡大が完了するため、全体の治療期間の短縮にもつながります。また、矯正治療の初期段階で大きな変化が実感できるため、治療のモチベーションを保ちやすいという利点もあります。
口呼吸の改善につながる
急速拡大装置によって上顎の幅が広がると、それに伴って鼻腔も広がるため、鼻呼吸がしやすくなる効果が期待されます。その結果として、慢性的な口呼吸の改善につながることがあります。
口呼吸は、虫歯や歯周病のリスクを高めるだけでなく、口が常に開いた状態になることで、ぽかん口と呼ばれる習癖や、顔つきへの悪影響を引き起こすこともあります。
上顎の幅を広げ、空気の通り道を確保することで、自然と鼻呼吸が促され、健康的な呼吸習慣を取り戻す助けになります。
顔の左右対称性が向上する
急速拡大装置によって上顎の骨格を整えることで、顔全体のバランスが改善され、左右対称性が向上する場合があります。
上顎が狭いと、噛み合わせや筋肉の使い方に偏りが生じやすく、顔の左右差が目立つことがあります。急速拡大装置は骨格そのものにアプローチできるため、顎の位置や歯列の中心が整い、結果として顔の対称性が改善されることがあるのです。
特に成長期の子どもは骨が柔らかく、装置による変化が顔立ちに現れやすいため、見た目の印象にも良い影響が期待できます。バランスのとれた自然な顔貌に導く助けとなるでしょう。
急速拡大装置による治療のデメリット
メリットが多くある一方で、急速拡大装置にはいくつかのデメリットも存在します。以下に詳しく解説します。
取り外しができない
急速拡大装置は、固定式であるため自分で着脱することができません。基本的には治療完了まで装置を口腔内に装着し続ける必要があります。
これにより、衛生管理が難しくなることや、装置に異常を感じてもすぐに取り外せないといった不便さを感じることがあります。また、装置の構造上、食べ物が詰まりやすく、歯みがきにもコツが必要になります。
装置に不快感や痛みが生じることがある
急速に顎を拡大する性質上、使用初期には痛みを感じることがあります。特に、顎の幅の拡大を開始して数日間は、歯の根元や顎の中央に鈍い痛みを感じることがあります。また、装置が口の中に常にある状態が続くため、舌や頬の内側が擦れて口内炎ができることもあります。
こうした痛みや不快感は次第に慣れていくことが多いですが、個人差があるため、事前に理解しておくことが大切です。
装置が目立つことがある
口を開けたときに装置が見えることがあります。特に笑った際や会話中に、金属の装置がちらりと見えることがあり、見た目を気にする方にとってはストレスに感じるかもしれません。
また、話しにくさや発音のしづらさを感じる場合があり、人前で話す機会が多い方にとっては心理的なハードルになることもあります。
急速拡大装置で治療する場合にかかる期間
急速拡大装置を使用した治療にかかる期間は、個人の成長段階や拡大の程度によって異なります。顎の幅の拡大そのものにかかる期間は、通常2週間から1ヶ月程度です。この間にネジを回して徐々に顎の幅を広げていきます。
その後、拡大した骨が安定するまで3〜6ヶ月ほどかかります。全体として、急速拡大装置を装着している期間はおよそ半年程度とされています。
急速拡大装置で治療する場合にかかる費用
急速拡大装置による治療は、保険適用外となることが多く、費用面もあらかじめ把握しておくことが重要です。
急速拡大装置そのものにかかる費用は、3万円〜5万円程度が一般的です。これに加えて、診察料、調整料、レントゲン撮影料などが発生するため、事前に総額を確認しておくとよいでしょう。
まとめ
急速拡大装置は、上顎の骨を短い期間で広げることができる効果的な矯正装置です。特に成長期の子どもにおいては、顔貌の変化や噛み合わせの改善など、将来的な歯並びや健康に大きなメリットをもたらします。
一方で、装置の見た目や不快感、取り外しができないことなどのデメリットもあります。 顔つきにどのような変化があるのか、どれくらいの期間・費用がかかるのかなど、事前にしっかりと情報を得たうえで治療を始めることが重要です。
歯科医師とよく相談し、お子様に合った治療法を見つけてください。
小児矯正を検討されている方は、長野県松本市島内「JR島内駅」より徒歩5分にある歯医者「おおた歯科・矯正歯科医院」にお気軽にご相談ください。
当院は、痛みの少ない丁寧な治療を意識して診療にあたっています。一般歯科だけでなく、矯正治療や小児歯科、予防歯科にも力を入れています。