まねっこ治療

小さなお子さんが歯の治療を嫌がって
泣いたりなどして
治療をさせてくれないことがあります。

 

一方、お利口に、治療を受け入れる

お子さんも大勢います。

 

このようなお子さんは歯医者さんに

信頼感を持っています。

 

お子さんの治療を行うにあたってはまず、

お子さんと信頼関係をつくることが
不可欠になってきます。

 

歯科治療を行うとき、
お子さんにこの歯医者さんになら、
治療をしてもらっても安心だと
思ってもらわなければなりません。 

 

それには、最初の治療が、
大変大事です。
最初の治療は絶対に痛くしてはいけません。

 

最初の治療は気持ち良く終わること
これこそが最も重要です。 

 

この歯医者さんの治療なら
全然大丈夫
と思ってもらう必要があります。

 

どうせむし歯さんを退治してうなら、
この歯医者さんにやってもらおう
と思ってもらわないといけません。

 

そのためには、最初の治療が
大変大事になります。

 

最初の治療は何が何でも、
逆立ちしても
絶対痛くない治療をします。

 

それが「まねっこ治療」です。
要は実際の治療器具を用いて
治療の真似をして、
治療をしているふりをするのです。

 

「それは真似だけだから、治療ではない」
と言ってはいけません。
真似は真似でも、「まねっこ治療」という名の
大事な大事な治療です。

 

「まねっこ治療」が終わった時
お子さんはこう思います。
「え、もう、終わり？
どうってことなかったじゃん。
心配して損したな。」 

 

それとともに治療で痛くしなかった歯科医に
信頼を抱いてくれます。
「この先生のする、むし歯治療は痛くないんだあ」と

 

そうすることによって、
次回以降の本格的治療の際にも
不安なく、自信をもって
歯科医院を訪れるようになります。

 

その自信をより強くするために
まねっこ治療で頑張ったことを
たくさん褒めて上げてください。

 

「上手に治療できたね。
むし歯さんやっつけてもらってよかったね。」と
心から褒めてあげてください。 

 

家へ帰って、お父さんが帰ってきたら
「う～んと頑張って治療をしたんだよ」と
子供に報告させて
思いっきり褒めてもらいましょう。

 

保育園の先生にも
「う～んとお利口に治療してもらったよ」と
子供に報告させて褒めてもらいましょう。

 

実際にむし歯をとり除くときは、ご存知の通り
水をかけながらドリルでむし歯をけずりとります。

 

でも、まねっこ治療のときは
水をかけながら、
まるっきり削れないドリルで
軽く振動だけを与え
治療をしているふりをします。

 

逆立ちしても痛いはずはありません。

 

たとえ泣いても、
痛くて泣いているわけではありません。
不安で泣いているだけです。

 

ですから、初回は不安のために
泣いてはみましたが、
「どうってことなかったなあ。」と
内心では、とっても安心したので、
次の来院時に初回の受診が自信となって
泣かずに治療を受けるようになるのです。 

 

治療に使うドリルのキーンという音や、
その際出てくる水は
必ずしも心地よいものではないかもしれませんが、
絶対に痛くありません。

 

最初の治療のとき、「キーン」という音。
水かけの感覚。

 

「ズルズル」という口の中の水を吸い取る音。 

 

これらの感覚のなかで、
「痛い」という経験をすると、
次からはそれらの音を聞いただけで
頭の中が「痛み」の恐怖で
いっぱいになってしまいます。

 

「まねっこ治療」は、
ドリルの音や水かけの感覚が
痛みとリンクさせないようにするために行います。

 

さらに「まねっこ治療」は
歯への水掛けは
気持ちよいシャワーをイメージさせ

 

「キーン」という音は、
かっこいいジェット機を思い起こさせるように
インプットするのです。

 

「シャワーだよ、気持ちいいでしょう」
といって歯に水をかけ
（このときは削りません。単に水をかけるだけだけです。）

 

「飛行機の音だよかっこいいでしょう」といって
、歯に振動だけ与え、
「掃除機だよ、おもしろいでしょう。」
といって口の中にたまった水を吸う。

 

その間、十ないし二十秒。
それで初回の治療（まねっこ治療）は、
終了となります。

 

治療はしていない、ではありません。
「まねっこ治療」という治療をしたのです。

 

「まねっこ治療」が終わったら
頑張ったことを褒めてあげるのです。

 

褒められて、誇らしげな気持ちが
次の治療時の頑張りへとつながります。

 

楽しげなアプローチに、ニコっとするお子さんもいます。
そして歯科治療に対して大いなる自信をもつのです。

 

そして「生涯自分の歯を大事にしよう」と思う
最初の一歩となるのです。